7383 ≪金田一耕助の冒険≫

7383.jpg

≪金田一耕助の冒険≫

角川文庫
角川書店 1976年9月10日/初版
横溝正史 著

  相互貸借で、取り寄せてもらった本。 磐田市立図書館の蔵書です。 カバー付きですが、破れがあり、かなり、くたびれています。 角川・旧版で、一冊になっているもの。 相互貸借で取り寄せてもらう際、依頼書の備考欄に、「一冊の方」と指定して、こちらにしてもらいました。

  この本が出た後になって、同名の映画が作られ、その時に、二分冊で、再度、発行されました。 角川・旧版の中で、ダブりがあるのは、この作品だけ。 カバーは、一冊本の方は、杉本一文さんの絵。 二分冊の方は、和田誠さんの絵で、映画の内容に合わせたもの。 ただし、映画と、この本の内容は、全く違います。

  11作を収録した、短編集。 1957-58年(昭和32-33年)に、「週刊東京」に、三人の作家が、一作二回のパターンで、断続的に書いたもの。 横溝さんの作品は、全て、「○の中の女」というタイトルで統一したとの事。 この短編集に収録されていない作品もあるそうです。 数が多くて、一作ずつ、感想を書けないので、大雑把な紹介だけ、一言で片付けます。

【霧の中の女】約39ページ
  霧の夜に、宝石店の店員を刺し、宝石を持ち逃げした女の話。

【洞の中の女】約45ページ
  最近、持ち主が変わった家の、庭にある木の洞から、コンクリートに塗り込められた女の死体が出る話。

【鏡の中の女】約49ページ
  酒場で、殺人計画を読唇術で読み取るが、狙っていた方の女が殺される話。

【傘の中の女】約47ページ
  海水浴場で、間違えた同じ柄のパラソルの下で、女が殺される話。

【鞄の中の女】約51ページ
  車のトランクに積まれた石膏像の中から、女の死体が出てくる話。

【夢の中の女】約44ページ
  姉を殺された、夢想癖を持つ妹が、自分も殺されてしまう話。

【泥の中の女】約60ページ
  たまたま寒さを凌ぐ為に入った家で、女の死体を見つける話

【棺の中の女】約32ページ
  壺を持つ女の像が二つあり、その内の一つから、女の死体が出てくる話。

【瞳の中の女】約29ページ
  記憶喪失の男が、女の顔を思い出し、記憶が戻った後、ある屋敷に、調べに行く話。

【檻の中の女】約30ページ
  小船に載せられた檻の中から、毒を盛られた女が発見される話。

【赤の中の女】約34ページ
  海水浴場で再開した男女4人が、それぞれ、腹に一物ある話。

  「こんなんで、分かるか!」と思われるとは思いますが、これ以上詳しく書くとなると、また、一から読み直さなければならないので、勘弁して下さい。 全ての話で、金田一耕助が深く関わり、等々力警部も相伴します。 ただし、「冒険」はしません。 活劇調の話は、皆無です。

  どの作品も、他の長編や中編に使われている、トリックや謎を、流用したようなアイデアで、新鮮さは、ほとんど感じません。 だけど、面白いです。 中島河太郎さんの解説にも書かれていますが、シャーロック・ホームズの短編集と同じような雰囲気で、夜、眠る前に、一作か二作読むのに、ちょうど良いボリュームなのです。

  これは、図書館で借りて来るよりも、買ってしまって、いつでも読めるように、手元に置いておいた方が良さそうです。 二分冊の方が、手に入れ易いですが、杉本一文さんのカバー絵が欲しいのなら、一冊本の方がお薦め。 この小池朝雄さんみたいな顔は、金田一耕助を描いたのだと思いますが、同じ画家が描いた同じ人物の顔なのに、≪扉の影の女≫のカバー絵とは、随分、違いますねえ。