7467 ≪真珠郎≫


≪真珠郎≫

角川文庫
角川書店 1974年10月20日/初版 1978年7月30日/17版
横溝正史 著

  2019年5月に、ヤフオクで、角川文庫の横溝作品を、18冊セットで買った内の一冊。 そのセットを買った第一の理由は、≪蝶々殺人事件≫が含まれていたからですが、第二の理由は、この≪真珠郎≫が入っていたからです。 ≪真珠郎≫も、単品だと、安いのが、なかなか出て来ないのです。 

  私、このカバー絵の文庫を、1995年9月頃に、今はなき、三島の古本屋で見ているんですが、背表紙が、黒ではなく、白だったばかりに、買わなかったのです。 最近になって分かったのは、角川文庫の横溝作品は、最初の頃、背表紙が白だったようで、その本は、たぶん、ごく初期の発行だったのでしょう。

  とはいうものの、【真珠郎】は、割と最近、全集の方で読んで、感想も書いているので、割愛します。 もう一作収録されている短編の方だけ、感想を書きます。


【孔雀屏風】 約41ページ
  1940年(昭和15年)2月に、「新青年」に掲載されたもの。

  江戸時代に描かれ、二つに分割されて、遠く離れた二つの家で、別々に保存されていた屏風。 一方には、美しい娘と白い孔雀が、もう一方には、美しい青年が描かれていた。 一方の家の息子が、戦地から送ってきた手紙をきっかけに、互いに、屏風の片割れの所在が分かり、その後、屏風に隠された宝の在り処の手がかりを巡り、殺人事件まで起こるが、実は・・・という話。

  時局に合わせたような部分もあり、時局が気に入らなくて、江戸時代を発端にして、当局の目を晦ましたようなところもあります。 短い割に、あれもこれもと凝り過ぎていて、纏まりは良くありません。 アイデアは面白いのですが、先祖の因縁が子孫に表れたという話となると、これは、もはや、推理小説ではなく、伝奇ですな。

  ただ、読んでいる間は、ゾクゾクして、楽しいです。 時局の制約がなければ、もっと、のびのびした話になって、気楽にストーリーを満喫できたと思うのですがね。