7376 ≪宇宙に「終わり」はあるのか≫

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≪宇宙に「終わり」はあるのか≫

ブルーバックス
講談社 2017年2月20日/初版
吉田伸夫 著

  沼津市立図書館にあった本。 ブルーバックスというのは、新書サイズの科学入門書シリーズです。 入門書と言っても、理工系でない人間にとっては、入門が限界で、そこから先の専門書には、とても進めないから、「科学書は、ブルーバックスしか読まない」という人も多いのですが。 ちなみに、かつて、SF作家が、小説のアイデアを考える時に、この種の入門書が、ネタ本として、よく利用されたようです。

  副題に、【最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで】とあります。 「10の100乗年」というのは、算用数字で書けば、10の後ろに、0が100個並ぶ数値で、書いてみますと、

100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年

  になります。 宇宙誕生から、現在までが、138億年ですが、算用数字にすると、

138000000000年

  ですから、まだ、始まったばかりである事が分かります。 では、この途方もなく長い未来をもつ宇宙が、今後、どんどん発展して行くのかというと、そんな事はなくて、衰える一方なのだとか。 「エントロピーの増大」という言葉で表される事ですが、宇宙が、最も盛んに活動していたのは、ビック・バンの時で、それ以降は、衰えるだけ。

  今現在も、衰え続けている途中で、生物の進化とか、発展というのは、一時的なものに過ぎないのだそうです。 何だか、前向きな気分を著しく阻害する事実ですな。 星にすら、寿命はあり、恒星でも、ほぼ、100億年くらい。 理の当然ながら、生物は、それより前に滅びます。 まして、人類文明が消え去るのは、もっと早いというわけだ。

  太陽系が出来てから、生物が発生して、その後、コツコツと進化し、知的生命体である人類が発展して来るまで、46億年かかっているのに対し、恒星の寿命は、100億年くらいですから、知的生命体が登場するチャンスは、恒星一つにつき、一回しかないというのは、意外な話。 宇宙の持つ、「無限」のイメージを損なう事、甚だしいものあり。

  宇宙が膨張しているというのは、今では誰でも知っていますが、加速膨張なので、遥かな未来、銀河と銀河が離れるスピードが、光速以上になると、他の銀河が、全く見えなくなってしまうのだとか。 もし、その頃に、どこかの惑星に、知的生命体が発生したとしても、彼らは、自分の属する銀河しか観測できないので、ビッグ・バンの痕跡すら見いだせないだろうとの事。 気が滅入る。

  「半減期」という言葉が示すように、原子は崩壊して行きますし、それを構成している素粒子も、消えて行って、いずれ、宇宙に、物質というものがなくなり、空間だけになるのだそうです。 そもそも、現在、宇宙に存在する物質は、ビッグ・バンの時に生み出されたものが、全ての元になっており、宇宙の外から供給される事はないので、最終的には、なくなってしまうわけだ。 気が滅入るなあ。

  ところで、この種の本は、過去にもいろいろとあったのですが、宇宙科学の発展は急で、20年くらい前の本となると、今ではもう、全然、中身が通用しないのだそうです。 たとえば、「インフレーション理論」というのは、かつては、ビッグ・バンの後に起こった現象を指す概念でしたが、今では、ビッグ・バンの原因になった現象を指すようになっているとの事。 概念が変わったのなら、名前も変えて欲しいところです。 ややこしい。