7292 ≪青髪鬼≫

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≪青髪鬼≫

角川スニーカー文庫
角川書店 1995年12月/初版
横溝正史 著

  三島市立図書館の書庫にあった本。 旧版は、1981年9月に出ています。 95年に、スニーカー文庫として、改版したもの。 収録されているのは、長編1、短編3の、計4作。 巻頭に、登場人物を紹介したイラストあり。 イメージ・イラストのページあり。 漫画風のコマ割りをしたページあり。 作中に、数枚の挿絵あり。 カバー表紙絵も含めて、全て、漫画風の絵柄です。


【青髪鬼】 約162ページ
  1953年1月から12月にかけて、「少年クラブ」に連載されたもの。

  新聞に、三人の人間の死亡記事が出るが、本人達は、まだ生きているという、奇妙な事件が起こる。 青い髪の男による犯行と分かり、偽死亡記事に出た三人が、殺されたり、誘拐されたりするのを、探偵小僧・御子柴進と、敏腕新聞記者・三津木俊助、更には、怪人・白蝋仮面までが入り乱れて、活劇を繰り広げる話。

  全体的なアイデアは、【幽霊鉄仮面】と同じです。 昔、お宝を発見した一味の間で、仲間割れが起こり、ひどい目に遭わされた者が、復讐を始めるというパターン。 【幽霊鉄仮面】は、戦前の作品なので、戦後になって、リメイク的に書き改めたのが、この作品なのかも知れません。 髪が青いのは、【迷宮の扉】に出て来る青い髪と同じ理由で、コバルト鉱山での労働によるもの。 

  【幽霊鉄仮面】より、短い分、月並みな見せ場を繰り返される回数が少ないので、楽しんで読めます。 犬も殺されないし。 しかし、地下室で水攻めとか、水上の追跡とか、迷路の洞窟とか、やはり、道具立てが月並みである事に変わりはなく、楽しむと言っても、限界は低いですなあ。

  それにしても、白蝋仮面・・・。 毎度の事ですが、何の為に出て来たのか、よく分からないところがあります。 横溝さんが作った、一種のダーク・ヒーローなのですが、他人に化けられるという特技は、怪人二十面相に似ているものの、キレがないというか、悪人になりきれないところがあり、何とも、中途半端なキャラなのです。


【廃屋の少女】約24ページ
  作品データ、なし。

  金持ちのお嬢様が、屋敷に入った泥棒に温情をかけて、泥棒の妹の治療費を恵んでやった。 後々、お嬢様が危機に陥った時に、その妹が命を救ってくれる話。

  小説の体裁で書かれていますが、話の基本構造は、恩返し物の昔話に近いです。 ネタバレですが、ラストで、泥棒の妹が、お嬢様の身代わりに死ぬような事はないので、安心して読めます。 そうなっても、おかしくないような流れなのですが、お約束的な、お涙頂戴を避けたのかも知れませんなあ。


【バラの呪い】約34ページ
  作品データ、なし。

  ある女子高の寮で、ツー・トップの美少女の内、一人が毒殺される。 もう一人の美少女が、犯人の目星をつけるが、なぜか、それを明らかにしようとしない。 その態度を、死んだ美少女の腹違いの妹が、誤解して・・・、という話。

  同じく、女子高の寮が舞台になる、【死仮面】よりも、更にベタベタの少女小説でして、推理小説的な要素は、希薄です。 横溝さんの少女観が、よく表れていると言えば言えます。 この作品に於いては、少女達の世界を描く事に目的があり、ストーリーは、オマケのようなものです。


【真夜中の口笛】約26ページ
  作品データ、なし。

  夜中になると口笛が聞こえると言っていた姉が、「悪魔の手が・・・」と言い残して死ぬ。 その2年後、妹が、叔父と一緒に投宿していた旅館で、同じように、口笛を聞く。 同じ旅館に泊まっていた青年が、その部屋に張り込んで、「悪魔の手」と、口笛の正体を暴く話。

  シャーロック・ホームズにある、【まだらの紐】の翻案です。 蛇が、蜘蛛に変わっているだけ。